誰にカードを出すのか?
誰のために出すのか?


Date: 2002-06-25 (Tue)

by 機長

【World Gap情報】

 そう、昨今話題のワールドカップ審判問題について。

 今回のワールドカップから徹底されるようになった「シュミレーション」への厳罰(この記事にうよるとペナルティエリア以外への徹底って書いてあるけど、実際にはこれまでだってペナルティエリア内ではこれほど厳しくなくて、ファールを課すっていうより、シュミレーションした人間の行為を無視するってニュアンスだったように思う)って、とっても難しいように思う。

 とくに背後からのチャージに続いて生まれたシュミレーションの場合、これまでのケースなら背後から来た選手の「ファール」か「無罪」しかなかったのに、シュミレーションが徹底されたことで、背後から来た選手の「ファール」か「無罪」か?の他に、倒された選手の「ファール」か「無罪」か?までが判定の幅として広がる。これに「カードを出す」「カードを出さない」までの判定が加わるものだから、ひとつのプレーから生まれる判定の幅があまりにも広がりすぎた。

 今回のワールドカップでは、このあたりの幅が、問題の特定国の試合に限らず、かなり曖昧だ。足や手をひっかけられていないのに転んだらシュミレーションを取られたというケースはもっともわかりやすいケースだが、足や手などは確実にひっかけられているものの倒れる仕草が大きかった場合は、審判によって、あるいは同じ審判によって判定は大きくブレている。こうした複雑なルールを公平に執行するのは難しい。

 あとは、ペナルティエリア内で起こったファールへの細かい判定。これになると、今回のワールドカップでは、機長には誰がどこで何をしたのかさっぱりわからない場面があまりにも多すぎた。これまでの前二回ワールドカップ(米国&仏国)では、ここまで何がどこでどう起こったのかわからないファールというのはあまりなかったように思う。たいていはリプレービデオを観ればさもありなん、という場面を見つけることが出来たから。(100%とは言わないが…)

 そういう意味で、機長は今回のワールドカップでいろいろ言われている審判問題について、もっとも攻められるべきは、自身も認めている通り、FIFAにあると思う。あまりにも統一性を欠いた判定が多すぎた。これは特定国の試合に限った話ではない。機長は全試合を見ている訳ではないが、ビデオを部分的に見ただけの試合まで含めて、本当にしばしば起こっている。(なお、ラインの内外やオフサイドの判定などについても、この場合は、基準が曖昧というよりも、レベルの酷い判定がちょくちょく見受けられた)

 もう少し話を進めるなら、それでも特定国の勝利に繋がった「妙な判定」は多かったのでは?という話がある。それは確かに、すべて結果論に過ぎないものの、確かにやや多いように思う。だが、これをもってして、特定国の組織委員会などを一方的に攻めることは出来ない。もう少し柔軟な表現を使えば、それは時期尚早であると思う。理由はこれまでにも書いた通り、「証拠」がいっさいないからだ。もともとFIFAが複雑怪異な新ルールを決めてしまい、レベルのバラバラな審判を選んでしまった以上、ここまで起こった出来事を偶然と呼ぶことも出来る。さらに言うなら、特定国が有利に働いたからと言って、特定国がその裏で動いていると考えるのは早計過ぎる。別の力が動いている可能性だって捨てきれない。たとえばFIFA自身が今大会成功のためにそのように動いた可能性だって捨てきれないし、また、結果として特定国に対するバッシングが始まっている以上、そこまでを意図した陰謀だという可能性も、証拠がない以上、捨て去ることは出来ない。あるいは、ギャンブルに絡んだ非合法団体による結果操作の可能性だってないとは言えない。実際、今回のあまりにも無茶苦茶な結果のためにギャンブル世界では莫大なお金が動いているはずだ。すべての可能性の中から、もっともシンプルだという理由だけで、特定国や特定国に絡んだ団体や個人だけを攻撃するのは安直すぎると思っている。

 異論もあるだろう。だが、機長は個人としてこのような見地から、グレーをブラックと言い切るようことはしない。とくに、一国のアイデンティティに関わるような問題ならなおさらだ。たとえそれが濃いグレーであったとしても、早計にブラックだと言いきって、その後に起こる国際問題までを無視して考えることなど出来ないからだ。

 というわけで、今晩は普通に特定国を応援したいのだが、仕事のために観ることが出来ない。残念!Youngさん、いいな〜!



2002年06月25日