おはようからおやすみまで暮らしを見つめるWindowsとは…?

Date: 2002-01-09 (Wed)

by 機長

■Bill Gates氏が目指すユビキタスWindowsな世界――CES2002基調講演(ZDNN)

 CES会場でのBill Gateの基調講演を元にしたというこの記事の凄いところは一杯ある!まず、いきなりこんな言葉から始まる。

「MicrosoftのBill Gates氏は,これまでもずっと「どこでも,いつでも,どんなデバイスでも」という言葉を使い続けてきた。どんな場所でもPC(もしくはそれに近いデバイス)のパワーを享受できる」

 …うん?「どこでも,いつでも,どんなデバイスでも」WindowsOSとその亜種をぶち込んでやる、というのが彼がこれまで、耳に金属疲労が起きそうになるまで叫び、実践してきたことではなかったか?

 続いて〜

「彼の目指す理想の真の狙いは,ユビキタスな(つまり普遍的にどこにでも存在する)Windowsが作り出す世界を構築することだ。いや,これはGates氏がユビキタスWindowsと言ったのではない。しかし,極論を言うとそういうことになる」

 正確には「Gates氏がユビキタスWindowsと言ったのではない」そうだが、なぜか「ユビキタス」という言葉に、いつの間にか「Windows」というOSが結びつけられている。たぶん皮肉だろう。でなければ、ガリガリのOSがユーザに剥き出しになったユビキタス世界を想像するのはシュールすぎる。少なくともSONYが数カ月前にユビキタスという言葉を使った時、そこには剥き出しのOSの姿は出来るかぎり見えないようになっていた。(もちろん、「ユビキタス」はSONYのものでもないが…)

 でもって、記事の筆者も書いているように、「本質的にこれまでのコンピューティングとの違いが何なのか,具体的な製品や例を示すことまではできなかった」TabletPCをベースに、Bill Gatesの考える「ユビキタス」的なる世界の説明が始まるのだが、それはユビキタス的なるもの、というよりも「家電をコントロールする亜WindowsOS搭載マシン」のプレゼンに過ぎないように思うのだが、どうだろう?

 これとは別にちょっと気になるのは「Windows CE.NET対応デバイス」に関する記述。Siemens社、Cyberlink社、Motorola社、Samsung社など海外企業とともに紹介されているソニー社、富士通社、カシオ社、日立製作所と言った日本企業の名前の中に、ソニー社の名前があることだ。その並びから携帯電話に絡んだ提携だとは思うが、Microsoft社ではこのWindows CE.NETを「こうした機能は携帯電話だけでなく,PocketPCやAutoPCなどにも反映されていく見込み」だそうなので、ソニー社がWindows CE.NETを携帯電話のみならずPDAにも搭載するようになったら、ついにMicrosoft社vsSONY社の家電ネットワーク最終戦争は結論が出てしまうような気もする。ま、あくまで気がするだけだが。ソニー社さんにはそのあたり、プライドを保ってもらいたい。

 筆者は最後にこんな文章を書いている。

「PCの世界ではMicrosoftが何かを決めれば,その技術はデファクトスタンダードへの約束手形を持つ(とは言え,すべての技術が成功するわけではないが)。しかし,家電の世界ではその威光も絶対的なものではない。Microsoftの力を過小評価するわけではないが,これらの正否ががMicrosoftの真の力量を問うものとなるだろう」


 確かにその通りで、ハンドヘルド・コンピューターの世界のように、これ以上カラ手形を出したらヤバイという意識からか、最近の同社はどこか焦っているようにも見える。もちろん、気のせいかもしれないが…。



 ↑ 別にこの種の操作にWindowsはいらないと思うのだが…。

 さて、Windows版の「ユビキタス(?)」なんてものが登場したら、セキュリティホールのバージョンアップのために、あらゆる家電製品のソフトウェアアップデートが大変だ!…思慮のない戦略だけの標準の怖さとは、実はこのあたりにあるのでは?